自然科学のクイズ一覧
全71問のクイズを収録
Q. オワンクラゲから緑色蛍光タンパク質を発見し、2008年のノーベル化学賞を受賞した日本の生物学者は誰でしょう?
A. 下村脩
(しもむらおさむ)
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下村脩は1928年京都府生まれの生物学者です。緑色蛍光タンパク質(GFP)の発見により、マーティン・チャルフィー、ロジャー・チェンとともに2008年のノーベル化学賞を受賞しました。2018年に長崎県で逝去しました。
Q. ベンゼン環の二置換体において、オルト、メタと並ぶ位置異性体は何でしょう?
A. パラ
(ぱら)
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パラ位は、ベンゼン環上で1位と4位の位置関係を示します。オルト位は隣接する1,2位、メタ位は1,3位の関係です。これらは芳香族化合物の命名において重要な概念で、それぞれo-(ortho)、m-(meta)、p-(para)と略記されます。
Q. 冷帯の針葉樹林の分布域に見られる、日本語で「灰白土」とも呼ばれる酸性の成帯土壌は何でしょう?
A. ポドゾル
(ぽどぞる)
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ロシア語で「灰の下」を意味する語に由来します。タイガなどの冷涼な地域で、降水量が蒸発量を上回ることにより、表層の鉄やアルミニウムが溶脱して下層に集積し、上層が灰白色を呈する特徴的な土壌断面を形成します。
Q. 電離層のE層を、発見に関わった2人の電気工学者の名前から何層というでしょう?
A. ケネリー・ヘビサイド層
(けねりー・へびさいどそう)
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1902年にアメリカのアーサー・ケネリーとイギリスのオリバー・ヘビサイドが独立に電離層の存在を予言したことにちなんで名付けられました。E層は地上約90~120kmに存在します。
Q. 19世紀にグレゴール・メンデルがエンドウマメの交配実験から導き出した「メンデルの遺伝法則」を構成する3つの法則のうち、優性の法則、分離の法則と並んで挙げられる、複数の形質が互いに影響を及ぼさずに遺伝することを示す法則を「何の法則」というでしょう?
A. 独立の法則
(どくりつ)
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独立の法則(または独立遺伝の法則)は、1865年にオーストリアの修道士グレゴール・メンデルによって発見されました。この法則は、異なる形質を決定する遺伝子が互いに独立して次世代に伝わることを示しています。メンデルはエンドウマメの種子の形(丸orしわ)と色(黄or緑)という2つの形質を同時に追跡し、これらが互いに影響せず独立して遺伝することを発見しました。具体的には、雑種第二代(F2)で9:3:3:1の分離比が現れることを確認しました。ただし、この法則が成立するのは遺伝子が異なる染色体上にある場合、または同じ染色体上でも十分離れている場合に限られます。連鎖している遺伝子では独立の法則は成立せず、これは後のトーマス・モーガンの研究で明らかになりました。メンデルの業績は当時は注目されませんでしたが、1900年に再発見され、遺伝学の基礎となりました。
Q. ロシアの生理学者イワン・パブロフが、ベルの音を聞かせた後に餌を与える実験を繰り返すことで、ベルの音だけで唾液が分泌されるようになることを発見した、条件反射の研究で有名な実験を何というでしょう?
A. パブロフの犬
(ぱぶろふのいぬ)
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パブロフの犬は、ロシアの生理学者イワン・パブロフ(1849-1936)が行った条件反射に関する有名な実験です。犬にベルの音を聞かせた直後に餌を与えることを繰り返すと、やがてベルの音を聞いただけで餌がなくても唾液が分泌されるようになることを発見しました。この現象は「条件反射」または「古典的条件づけ」と呼ばれ、本来無関係だった刺激(ベルの音)が、特定の反応(唾液分泌)を引き起こすようになることを示しています。パブロフはこの研究により1904年にノーベル生理学・医学賞を受賞し、心理学や行動科学の発展に大きく貢献しました。現代でも学習理論や教育、マーケティングなど幅広い分野でこの原理が応用されています。
Q. スマートフォンやハイブリッドカーなどの製造に不可欠で、スカンジウムやイットリウムなど17種類の元素の総称として知られる、希少な資源を何というでしょう?
A. レアアース
(レアアース)
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レアアースは「希土類元素」とも呼ばれ、周期表の第3族に属するスカンジウム、イットリウム、ランタノイド15元素の計17元素の総称です。英語では「Rare Earth Elements(REE)」と表記されます。「レア(rare)」という名前ですが、実際には地殻中に比較的多く存在するものの、経済的に採掘可能な濃度で産出する鉱床が少ないため「希少」とされています。現代のハイテク産業において極めて重要な資源で、スマートフォン、電気自動車のモーター、風力発電機、LED照明、液晶ディスプレイなど幅広い製品に使用されています。特に中国が世界の生産量の大部分を占めているため、資源の安定確保が国際的な課題となっています。日本でも海底資源としてレアアースの存在が確認されており、将来の資源開発が期待されています。
Q. 「ねじりモーメント」や「回転モーメント」ともいわれる、固定された回転軸を中心に物体を回転させようとする力の効果を表す物理量で、自動車のエンジン性能の指標としても用いられるものは何でしょう?
A. トルク
(トルク)
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トルクは、固定された回転軸を中心に物体を回転させようとする力の効果を表す物理量です。日本語では「ねじりモーメント」や「回転モーメント」とも呼ばれます。トルクの大きさは回転軸からの距離(腕の長さ)と、その点に加わる力の積で表され、単位はニュートンメートル(N·m)が用いられます。この概念は古代ギリシャのアルキメデスが発見した「てこの原理」に遡り、17世紀以降のニュートン力学の発展とともに回転運動の理論として体系化されました。トルクは日常生活に深く関わっており、ドアノブが端に付いているのは回転軸からの距離を大きくして少ない力で開閉できるようにするためです。また自動車のエンジン性能を示す指標としても重要で、トルクが大きいほど加速力が強くなります。工具のトルクレンチもこの原理を応用した道具です。
Q. 地球と太陽の平均距離を基準とした長さの単位で、2012年の国際天文学連合総会で正確に149,597,870,700メートル(約1億4960万km)と定義された、太陽系内の天体間の距離を表すのに使用される単位は何でしょう?
A. 天文単位
(てんもんたんい)
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天文単位(Astronomical Unit、記号: au または AU)は、地球と太陽の平均距離を基準とした長さの単位で、主に太陽系内の天体間の距離を表すのに使用されます。2012年の国際天文学連合(IAU)総会で、1天文単位は正確に149,597,870,700メートル(約1億4960万km)と定義されました。歴史的には、地球の公転軌道が完全な円ではなく楕円であるため、実際の地球-太陽間距離は変動します(近日点約1億4710万km、遠日点約1億5210万km)。そのため当初は「地球の公転軌道の長半径」として定義されていましたが、測定精度の向上に伴い固定値として再定義されました。太陽系内では、例えば火星は約1.5天文単位、木星は約5.2天文単位、海王星は約30天文単位の位置にあります。太陽系を超える恒星間距離には、さらに大きな単位である光年やパーセクが使われます。
Q. アルファベット3文字で「LED」と略される、電流を流すと発光する半導体素子で、照明や電光掲示板などに幅広く使われ、その青色の実用化で赤崎勇らが2014年にノーベル物理学賞を受賞したものは何でしょう?
A. 発光ダイオード
(はっこうダイオード)
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発光ダイオード(Light Emitting Diode: LED)は、電流を流すと発光する半導体素子です。1962年にニック・ホロニアックが実用的な赤色LEDを開発し、当初は電子機器の表示灯などに限定的に使用されていました。LEDの歴史で画期的だったのは1990年代の青色LED開発です。赤崎勇、天野浩、中村修二の3名が窒化ガリウムを用いた高輝度青色LEDの実用化に成功し、この功績により2014年にノーベル物理学賞を受賞しました。青色LEDの登場により光の三原色(赤・緑・青)が揃い、白色光の実現やフルカラーディスプレイが可能になりました。LEDは白熱電球に比べて消費電力が約10分の1、寿命は約40倍と優れた特性を持ち、現在では照明、信号機、テレビ画面、スマートフォンなど幅広い分野で使用され、省エネルギー技術として環境保護にも貢献しています。
Q. 自分自身を除く正の約数の和が、その数自身に等しくなる自然数のことを何というでしょうか。例えば6は、約数1、2、3の和が6になるため、この性質を持つ最小の数です。
A. 完全数
(かんぜんすう)
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完全数(かんぜんすう)とは、自分自身を除く正の約数をすべて足すと、元の数に等しくなる自然数のことです。最小の完全数は6で、約数1+2+3=6となります。次の完全数は28(1+2+4+7+14=28)、その次は496、8128と続きます。古代ギリシャの数学者たちは完全数を神秘的な数として重視し、ユークリッドは紀元前3世紀頃に完全数の生成公式を発見しました。現在知られている完全数はすべて偶数であり、奇数の完全数が存在するかどうかは数学の未解決問題として残されています。完全数はメルセンヌ素数と密接な関係があり、数論における重要な研究対象となっています。2024年現在、52個の完全数が発見されています。