医学・健康のクイズ一覧
全48問のクイズを収録
Q. 同じ文字や図形を長時間見続けることで、全体としてのまとまりが失われ、部分的なパーツの集合にしか見えなくなってしまう知覚現象を何というでしょう?
A. ゲシュタルト崩壊
(げしゅたるとほうかい)
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ゲシュタルト崩壊は、同じ文字や図形を長時間注視し続けることで、全体としてのまとまり(ゲシュタルト)が失われ、バラバラの部品の集まりにしか見えなくなる知覚現象です。例えば「借」という漢字を何度も見ていると、突然どんな形だったか分からなくなる経験がこれに当たります。ドイツ語の「ゲシュタルト(Gestalt)」は「形態」や「全体性」を意味し、人間の脳は通常、部分を統合して全体を認識する性質(ゲシュタルト知覚)を持っていますが、過度な注視により一時的にこの機能が低下します。心理学では認知疲労の一種とされ、通常は休憩することで元の認識に戻ります。日常生活では漢字の書き取りや校正作業などで経験することが多く、脳の認知機能の興味深い特性を示す現象です。
Q. ロシアの生理学者イワン・パブロフが、ベルの音を聞かせた後に餌を与える実験を繰り返すことで、ベルの音だけで唾液が分泌されるようになることを発見した、条件反射の研究で有名な実験を何というでしょう?
A. パブロフの犬
(ぱぶろふのいぬ)
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パブロフの犬は、ロシアの生理学者イワン・パブロフ(1849-1936)が行った条件反射に関する有名な実験です。犬にベルの音を聞かせた直後に餌を与えることを繰り返すと、やがてベルの音を聞いただけで餌がなくても唾液が分泌されるようになることを発見しました。この現象は「条件反射」または「古典的条件づけ」と呼ばれ、本来無関係だった刺激(ベルの音)が、特定の反応(唾液分泌)を引き起こすようになることを示しています。パブロフはこの研究により1904年にノーベル生理学・医学賞を受賞し、心理学や行動科学の発展に大きく貢献しました。現代でも学習理論や教育、マーケティングなど幅広い分野でこの原理が応用されています。
Q. 健康の維持や増進に役立つことが科学的に証明され、消費者庁長官の許可を受けた食品で、許可マークとして人が両手を広げたようなデザインが使われている食品を何というでしょう?
A. 特定保健用食品(トクホ)
(とくていほけんようしょくひん(とくほ))
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特定保健用食品(トクホ)は、健康の維持や増進に役立つことが科学的に証明され、国(消費者庁)の審査を経て許可を受けた食品です。1991年に制度が創設され、「お腹の調子を整える」「血圧が高めの方に適する」「コレステロールの吸収を抑える」など、特定の保健の用途を表示することが認められています。商品には人が両手を広げたような緑色の許可マークが付けられており、消費者が一目で識別できるようになっています。お茶、ヨーグルト、清涼飲料水など様々な商品があり、健康志向の高まりとともに市場が拡大しました。ただし、あくまで食品であり医薬品ではないため、病気の治療効果はなく、バランスの取れた食生活の中で利用することが推奨されています。
Q. 栄養状態の評価や改善を目的として、医師、管理栄養士、看護師、薬剤師などの多職種が連携して行う医療チームの略称をアルファベット3文字で何というでしょう?
A. NST
(NST(えぬえすてぃー))
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NSTは「Nutrition Support Team(栄養サポートチーム)」の略称で、患者の栄養状態を評価し、適切な栄養管理を行うために医療機関内で活動する多職種連携チームです。医師、管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師などが専門知識を持ち寄り、低栄養状態の患者や摂食・嚥下障害のある患者に対して、経口摂取、経腸栄養、静脈栄養などの最適な栄養療法を提案します。2010年に診療報酬として「栄養サポートチーム加算」が新設されて以降、多くの病院で導入が進み、患者のQOL向上や早期回復、合併症予防に貢献しています。
Q. 心臓の拍動リズムが乱れたり、遅くなったりする不整脈の治療のために、胸部に埋め込んで電気刺激を与える医療機器を何というでしょう?
A. ペースメーカー
(ペースメーカー)
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ペースメーカーは、心臓のリズムを正常に保つために体内に埋め込む小型の医療機器です。不整脈や徐脈(心拍数が異常に遅い状態)の患者に使用され、心臓に微弱な電気信号を送ることで規則正しい拍動を維持します。装置本体は通常、鎖骨の下に埋め込まれ、リード線と呼ばれる細い電極を通じて心臓と接続されます。現代のペースメーカーは非常に小型化・高性能化しており、患者の活動レベルに応じて自動的に心拍数を調整する機能も備えています。バッテリーの寿命は通常5〜15年程度で、定期的な診察とバッテリー交換が必要です。マラソンなどの競技で先頭を走る「ペースメーカー」と名前は同じですが、医療用語としては心臓の「ペース(拍動)」を「メイク(作る)」する装置という意味で使われています。
Q. 英語で「傍観者」を意味する言葉で、救急医療の現場では、急病人や事故の負傷者に遭遇した際、救急隊が到着するまでの間に応急手当を行う一般市民のことを指す用語は何でしょう?
A. バイスタンダー
(バイスタンダー)
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バイスタンダーとは英語の「bystander(傍観者、居合わせた人)」に由来する言葉で、救急医療の文脈では、急病人や事故の負傷者に偶然居合わせた一般市民を指します。特に心停止などの緊急事態では、救急隊到着前の数分間が生死を分けるため、バイスタンダーによる心肺蘇生やAED(自動体外式除細動器)の使用が極めて重要です。日本では「救命の連鎖」という概念の中で、バイスタンダーの役割が重視されており、119番通報、心肺蘇生、AED使用といった応急手当が推奨されています。近年では消防署や自治体による救命講習が広く実施され、バイスタンダーによる救命率向上が社会的課題として認識されています。
Q. 本来は外敵から体を守るはずの免疫系が、誤って自分自身の正常な細胞や組織を攻撃してしまうことで発症する疾患の総称を何というでしょうか?
A. 自己免疫疾患
(じこめんえきしっかん)
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自己免疫疾患とは、免疫系が「自己」と「非自己」を正しく識別(しきべつ)できなくなり、自分の体の正常な細胞や組織を攻撃してしまう病気の総称です。本来、免疫系は細菌やウイルスなどの外敵から体を守る役割を持っていますが、この機能に異常が生じると自分自身を敵とみなしてしまいます。代表的な疾患として、関節を攻撃する関節リウマチ、甲状腺(こうじょうせん)を攻撃する橋本病やバセドウ病、膵臓(すいぞう)のβ細胞を攻撃する1型糖尿病、全身の臓器に影響する全身性エリテマトーデスなどがあります。発症原因は遺伝的要因と環境要因が複雑に関与(かんよ)していると考えられており、完治は難しいものの、免疫抑制剤(よくせいざい)や生物学的製剤などの治療法の進歩により、症状のコントロールが可能になってきています。
Q. 2025年のノーベル生理学・医学賞を大阪大学の坂口志文特任教授らが受賞した、免疫系の過剰な反応を抑制し、自己免疫疾患やアレルギーを防ぐ役割を持つT細胞のサブセットを何というでしょうか?
A. 制御性T細胞
(せいぎょせいTさいぼう)
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制御性T細胞(Regulatory T cell、Treg)は、免疫系の「ブレーキ役」として機能する特殊なT細胞です。他の免疫細胞の過剰な活性化を抑制することで、自分の体を誤って攻撃する自己免疫疾患や、花粉症などのアレルギー反応を防いでいます。表面にCD4とCD25というマーカーを持ち、転写因子Foxp3を発現することが特徴です。大阪大学の坂口志文特任教授らがこの細胞を発見し、その功績により2025年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。この発見は自己免疫疾患の治療法開発やがん免疫療法の発展に大きく貢献しています。免疫バランスの維持に不可欠な細胞です。