解説
トルクは、固定された回転軸を中心に物体を回転させようとする力の効果を表す物理量です。日本語では「ねじりモーメント」や「回転モーメント」とも呼ばれます。トルクの大きさは回転軸からの距離(腕の長さ)と、その点に加わる力の積で表され、単位はニュートンメートル(N·m)が用いられます。この概念は古代ギリシャのアルキメデスが発見した「てこの原理」に遡り、17世紀以降のニュートン力学の発展とともに回転運動の理論として体系化されました。トルクは日常生活に深く関わっており、ドアノブが端に付いているのは回転軸からの距離を大きくして少ない力で開閉できるようにするためです。また自動車のエンジン性能を示す指標としても重要で、トルクが大きいほど加速力が強くなります。工具のトルクレンチもこの原理を応用した道具です。