解説
アンカリング効果は、最初に提示された数値や情報が「錨(いかり・アンカー)」のように心に固定され、その後の判断や意思決定に無意識のうちに影響を与える認知バイアスです。行動経済学や心理学で広く研究されている現象で、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンらによって明らかにされました。例えば、商品の元値が高く表示されていると、割引後の価格がお得に感じられたり、交渉の際に最初に提示された金額が基準となって妥協点が決まったりします。マーケティングや価格設定、交渉術などで広く活用されている一方で、消費者としては冷静な判断を妨げる要因にもなるため、この効果を理解しておくことが重要です。